フィットネスに関わる人で「塚田姉妹」の名前を知らない人はいないのではないでしょうか。
眞琴さんは姉の美樹さんとともに「b-monster」を起業、姉妹で「Forbes 30 Under 30 Asia」を受賞するなど、今注目されている経営者の一人。
塚田さんの経営ポリシーや今後の展開について代表の谷田がうかがいました。
【塚田眞琴(つかだ・まこと)】
1994年生まれ。2016年大学2年で姉と共に起業、同時に大学を中退。
2016年3月にb-monster株式会社を設立。
同年6月に1号店となるGinza studioをオープン。
2020年より代表取締役に就任。
<聞き手:谷田大河(株式会社FIT代表取締役)>
目次
ブランディングへのこだわり
起業にかかった費用は2億円
起業から4カ月で黒字化達成
塚田さんが次に狙うビジネス
ブランディングへのこだわり
谷田 今回はフィットネス業界のドン、塚田眞琴さんにお越しいただきました。さっそくですが「b-monster」がどのような会社で、どのような事業をしているのかを、まずは教えていただけますか?
塚田さん b-monster株式会社は、「b-monster」という暗闇ボクシングのフィットネススタジオを運営している会社です。暗闇ボクシングとは、暗闇の中で大音量の音楽をかけ、クラブのような空間でボクシングをするという新しい形のフィットネスです。現在は5期目に入り、国内外で13スタジオを運営しています。
谷田 売上はいくらくらいでしょうか?
塚田さん 年商で言うと、前期は25億ですね。
谷田 めちゃくちゃ売上が伸びていますね。おそらくフィットネス業界でもトップレベルの売上を誇る会社ではないでしょうか。塚田さんが経営で一番意識している、重きを置いているポイントはどこですか?
塚田さん 数値で見えにくい部分ではありますが、b-monsterは創業時から、ブランディングにかなりこだわっています。
谷田 例えばどのような部分でしょうか?
塚田さん 一般的なスタジオではインストラクターと呼ぶところを、b-monsterでは「パフォーマー」と呼んでいます。他にもホームページやスタジオの内装など「人に紹介したくなる」「通うことがステイタス」となるよう、すべてに気を遣っています。そこが強みでもあるし、差別化できている部分です。
谷田 なるほど。僕も元々b-monsterの会員でしたが、たしかに「通っていることがステイタスになる」というのは感じました。
起業にかかった費用は2億円
谷田 b-monsterの起業資金は、どのように集めたのでしょうか?
塚田さん 両親にお金をかりました。うちの家庭は両親とも起業家・経営者なので。
谷田 最初のスタートは銀座スタジオですね。そのときの初期費用、設備投資などは大体どれくらいかかりましたか?
塚田さん 確か2億円です。
谷田 おお……それはかなり思い切った決断をしましたね。
塚田さん そうですね。最初はそこまでかかるとは想定していませんでした。しかし準備を進めていくうちに、防音や防振など、思った以上にかかりました。また内装も、細かいところまでこだわりました。たとえば、サンドバッグの上のチェーンをわざわざ錆びさせるとか。
谷田 想定よりお金がかかったことについて、ご両親はどのように言っていましたか?
塚田さん 「最初はそれくらいやっていい」と言ってもらえました。「お金をかけていないというのは、お客様にも伝わるから」と。それで2億円を渡してもらったという経緯です。
谷田 お金の使い方も含めて、ご両親に相談されたのですね。
塚田さん 本当に、親というよりも投資家のような関係です。「こういう成長をしていって、このあたりでお金を返す」といった事業計画も、普通に話しますね。
谷田 ご両親から単純にお金を借りたというよりも、銀行から借りたというイメージに近いのですね。
起業から4カ月で黒字化達成
谷田 最初の方は収支が赤字だったかと思いますが、黒字化するまでここが辛かった、というのはありますか?
塚田さん それが実は4カ月で黒字化したので、経理面であまり苦労はしていません。
大変だったのはマネジメントですね。経営層は私と、一緒に起業した姉の二人だけで、他はパフォーマーばかりでしたので、すべて2人で決めなければいけなくて。3月に起業して、1号店を出したのが6月。3カ月しかなかったので、すごく大変でした。
谷田 4ヶ月目で黒字化したということは、かなり集客に力を入れたということですよね。集客のポイントはありますか? やはりブランディングでしょうか?
塚田さん 3つあります。先ほど申し上げたブランディングと、面白いコンテンツ、それから広告です。
すごく面白いコンテンツを作っても、知られないと意味がありません。そこで、最初に記者会見を開き、芸能人の方を呼びました。メディアの方に集まってもらえるよう、アクセルを踏んで広告費をかなりかけました。
谷田 コンテンツを作り込んだ上で、思い切りアクセルを踏み込む。最初からビッグスタートを切るべき、という考え方なのですね。
塚田さん ビジネスの形はいろいろありますので、それによりけりです。しかしb-monsterの場合は銀座という土地柄、家賃もすごく高くて、スロースタートだと家賃分のマイナスがどんどんかさんでしまいます。サブスクリプション(顧客が企業に対して定期的に利用料金を支払うビジネスモデル)であり、最初にできるだけ会員を集めた方が安定するというのもありましたので、最初にアクセルを踏みました。
塚田さんが次に狙うビジネス
谷田 最後に、今後の展望を聞かせていただけますか? 暗闇ボクシング以外の事業をやる予定はありますか?
塚田さん 今後はオンラインフィットネスにも力を入れていきたいと考えています。7月リリース予定です。
谷田 b-monsterでも会員向けのライブストリーム配信はありましたが、それとはまた別ということでしょうか?
塚田さん そうですね。株式会社としては一緒ですが、b-monsterではなく別の名前、別の事業部という形になります。
谷田 動画配信サービスのような形の事業ということでしょうか?
塚田さん そうですね。今はそのコンテンツを作り込んでいる段階です。
谷田 それは楽しみです。本日は貴重なお話をありがとうございました!
「b-monster」Webサイト https://www.b-monster.jp/